簡易電気柵設置のポイント

鳥獣害対策の手段の一つとして、電気柵(電気牧柵)の設置が進んできました。

電気柵は正しく設置できれば高い防除効果が得られますが、ちょっとしたミスが電気柵の効果を発揮できない要因になることもあります。

電気柵を設置する際のポイントをまとめましたので、参考になれば幸いです。

 

※この電気柵設置のポイントをまとめた冊子は「電気柵設置マニュアル(会津版)」として平成28年度公益信託うつくしま基金助成事業を活用して作成いたしました。この冊子をご希望の方は送料のみで郵送もできますので、お問合せ下さい。

電気柵の基本的な仕組み

電気柵は本器(電源部分)から電線を通して電気を流します。電線は基本的にプラス線(プラスの電気が流れる)です。地面がマイナス(アース)になります。

電気はプラスからマイナスに流れますが、動物が地面に乗っている状況で電線に触ると、動物の体がスイッチの役目を果たし、動物の体に電気ショックが流れます。

この仕組みが分かっていると、設置や管理のポイントがわかりやすいかと思います。

※表現が適切でない場合もあるかもしれませんが、イメージが付きやすいように表現しました。ご了承くださいませ。

電気柵は一般に市販されている電気柵を安全に使用してください。家庭用の100v電源を利用する場合は、漏電遮断器等の設置が義務付けられています。詳しくは購入されたメーカーさんにお問合せ下さい。


設置ルート選び

電気柵の効果をしっかりと発揮するためには、実は設置ルート選びから始まります。道路やコンクリートは土の地面よりも通電性が悪いために、道路に動物が乗った状態で電線に触っても、動物には十分な電気ショックを与えることができません。

また、立木などに近いとサルやクマなどの木登りが得意な獣種の場合は、木を上って電気柵内に侵入してくるため、この場所もルートとしては相応しくありません。

少なくとも道路やコンクリート、立木などから50cm~1mは離して設置しましょう。


碍子(クリップ)の向き

①電線を通して高さを固定する道具を碍子(がいし)と言います。メーカーによってクリップなどと呼び名が異なりますが機能は同じです。

碍子は図のように畑から見て外向きになるように設置します。特に碍子と支柱(ポール)が一体となっている場合は、碍子が内向きになっていると支柱部分は動物が電線に触れる機会がないので、支柱を押し倒して電気柵の中へ侵入されることがありますので、注意が必要です。

②また、支柱から近い場所に作物が植えてあると、サルなどは電線と電線の間から手を伸ばして作物を取ろうとします。その他の動物も目の前においしいものがあると、何としても取ろうと執着する可能性が高まりますので、ここでも設置ルート選びが重要になってきます。


地面と平行に

上の図のように、地面とできる限り平行に電線を設置する工夫が必要です。対象動物によって電線の段数と高さは異なりますが、どの動物でもまずは地面の際から入ろうとします。

その時に、規定の高さよりも高い所があれば、そこから侵入してきます。

「これくらいなら大丈夫だろう」と思っていても、ほんの数センチ高いだけで、その場所を目ざとく見つけて、侵入してきますので『穴』になる場所が無いように設置しましょう。

要注意の場所は水路をまたいだ場所、斜面と平面を連続的に設置した場所です。


サル用の電気柵

サル用の電気柵は少し工夫が必要です。先に紹介した点に気をつけることはもちろんですが、サルの場合はポールに上って侵入してくることがあります。

その際、電線全てがプラス線だと、地面よりも上の段に飛びついた場合に電気が流れるマイナスが無いために、電気ショックを与えることができません。

飛びつく可能性のある上の段には、図の用にマイナス線を忘れずに入れてください。


動物によって高さが違う

対象となる動物によって、電線の高さと段数が異なります。メーカーさんによって、推奨する高さや段数が異なる場合がありますが、こちらを目安としてください。


設置後の管理のポイント